土間玄関は4畳の広さ。
埼玉深谷の粘土と「にがり」で固めました。
杉の大黒柱は8寸角(24センチ角)。

居間の床は、球磨産の無垢の栗。

家の外観。
3センチ以上塗りつけた、深谷の土の外側に、
リサイクルポリエステルの断熱材を入れました。
一番外側に、杉の板15ミリ。
これで、いわゆる「準防火地域」に建築できます。

土間から続く2階への階段。
無垢の杉でできた厚い階段板の間から、
風が抜けていきます。

階段を上がりきると、少し広いホール。
洗濯物を干すための場所です。
空間が抜けているので、自然の気流が
いつも流れていきます。
1階土間から2階の天井まで抜けていると、
上から下までの空気の温度に大きな差が生まれ、自然の気流が起きます。これを「重力換気」といいます。
階段のように細長い空間だと、煙突のように
効果的に空気が登っていきます。
エネルギーを何も使わずに、換気ができます。

廊下から玄関土間の眺め。
古い蔵の戸や、千鳥の欄間から土間に、
光がこぼれていきます。

ひんやりした「土間」は、野菜や味噌、梅干しの
貯蔵場所になったり、
子供たちの遊び場になったり。


土間に埋め込まれた、魚の陶。
作者曰く「韓国の古い菓子型のひとつ」。

和室の壁は、深谷の土に麻を混ぜたもの。
これは「中塗り」。
この下には、厚さ3センチを超える深谷土が塗られ、
部屋の湿度や温度を緩やかに整えてくれます。

壁の足元に貼られているのは、「腰紙」。
茶室などに昔から貼られています。
この紙は東京で唯一残る手すき紙「軍道紙」。
国産の楮(こうぞ)から作られます。

木のダイドコロ。

木の母と書いて「栂(つが、とが)」。
同じ名前の北米産の米栂とは違う種類。
ゆっくりと成長する、木目細かく、硬い木です。
水場のカウンターに使えるほどに、
きめが細かく、丈夫。
蜜蝋ワックスで手入れするほど、飴色に。

換気フードは銅。
掃除が苦にならない、シンプルな作りです。

2階の屋根瓦。
深谷の窯元直送です。

和瓦というと、「三州瓦」や「石州瓦」が今の主流。
けれども、重い瓦は地元から近いところで
作られてきた、ローカルなモノ。

この瓦の下には、さらなる秘密が。
ブログ記事「いぶし瓦を葺きました」へ。

土間と瓦の懐かしい家